puttinpuddinのブログ

コンサルタント見習いの仕掛かり作業

続・私的な問題意識(とやりたいこと)

すべての変革が現状の否定である以上、それをやり遂げるうえで、挑戦と苦難とは避けて通れない。現状にはそれを形作る「合理」がある。その均衡を破るのは容易なことではない。 苦難が必然であるならば、追求すべきは、その軽減やそこからの逃避ではなく、変…

私的な問題意識(とやりたいこと)

設計行為とは本来的にIterativeなものである。2000年余りの歴史を持つ建築設計の世界では、設計は、基本計画・概念設計・詳細設計・生産設計といった多段階から構成されており、各段階を経る毎に解像度を高め、後続の生産へと繋げる。新興のSWE業もこれに倣…

「きつい上司」vs「やさしい上司」

若い優秀なマネージャーから「ジュニアに既に出来ることだけをやらせて褒めそやし、一切のネガティブフィードバックをしない「やさしい」マネージャーが人気を集め、適切なチャレンジを与えたうえでネガティブフィードバックを通じて成長を支援するマネージ…

議論と羞恥

本当に意味のある思索というのは、繊細で私的なもので、そもそも人前でやるようなものではない。 大勢を集めて議論することに羞恥を感じないのだとしたら、意味ある論題を設定できてない。

メンターの行動規範

「メンタリング」は、「教える-教えられる」というある種の権力構造が容易く手に入ってしまう営みである。そうした権力性を(自分でも自覚しないうちに)好んでメンタリングに執着する人が一定数いるように思うが、自分を厳しく律しなければ、自身を含め、関…

「適切な問題」の発見

以前の投稿で、「問題解決という営みは、「適切な問題」の発見も射程に入れる必要がある」と書いた。そしてその問題解決を職能として修めるのであれば、問題発見についても形式知化し、可能な限り再現性を高める努力が必要だと考えている。 たしかに「適切な…

嫌いな言葉①:「イシュー」

とある名著では、「解くことで効果が大きく、解くことができる問い」を「イシュー」と呼んで、こいつについて仮説検証をサクサク回そうぜと論じている。ここでいう「イシュー」とは、詰まるところ、「見解の統一されていない点のうち、効果と実現可能性の観…

「問題・課題・打ち手」

経営コンサルティングの仕事は、クライアントの置かれている固有文脈に根差した問題解決をサービスとして提供する。この仕事は、カスタマイゼーションの程度を高めることで得られる効用の非線形な伸びをバックボーンとしており、それゆえに、一品モノ生産の…

組織における多様性

「多様性は成長をもたらす。従って促進すべきである。」との言説をしばしば目にするが、強い違和感を覚えている。 まず、以前にも書いたが、多様な価値観や趣向や能力のバラつきは本来それ自体尊重されるべきものであって、「組織の成長をもたらすが故に重視…

独学のすゝめ

意識的な学習は、①理論の理解→②メンタルモデルとの突合→③メンタルモデルに即した行動の矯正、という手順を踏む。セミナーへの参加等で①に取り組みこそすれ、殆どの人は他人の言葉で語られた理論を自身の思考体系に取り込む②の労を払わず、見ていて勿体ないと…

経済合理性と倫理

ソフトウェアエンジニアリング業界で生まれた組織運営のプラクティスは、一定の条件を満たす組織において、道徳の実践が経済合理的でもあるということを立証した。これ自体は素晴らしいことであり、技術の進化とそれに伴う競争が加速する一方の資本主義社会…

収益モデルを用いるプロジェクト

経営コンサルティングのサービスでは、収益モデルを組んでそれをベースに議論を深めていくことが多い。このような議論では、定量化と分析の結果それ自体が重要になることもあるが、他方で、無理矢理モデル化・定量化する過程で事業の本質に対する理解の深化…

Integratorの仕事

事例を調べてもそこから抽象化したモデルを作れず、事例をそのまま提示することしかできない人がそこそこの割合でいる。事例をどれだけ積み上げても固有文脈を踏まえた提言にならないので、integratorとして機能しているとは言えず、単なる調査のオペレーシ…

出来ることと望むこと

人は自分の出来ることの範囲でしか望むことをしなくなる。一方で、自分の出来ることは望むことに制約される。そうして留まり淀み退縮する。 一度、出来ることをすべて出力しきってみて、その総体と全量を目の当たりにしてみるべきだと思う。もしそれで満足で…

"Do your homework."

「自分自身の問題解決に集中しろ」と彼は言っていた。 一見しただけでは判別は難しいかもしれないし、実際、当時の僕はいくらか取り違えて、それ故に距離をとっていたのだが、彼は決して、利己的になることも世捨て人になることも奨励してはいなかった。 そ…

分析は演繹なので

分析は演繹なので、分析の結果に「示唆深くない」と感じたときには、前提に当たる命題を追加したり洗練したりすべき。 演繹であるところの分析のゴールは、価値の高いGrounds - Warrant - Claimsのセットを発見することになる訳だが、どこから手をつけるべき…

チームマネジメントに関する個人的な課題

1on1に頼らず、一対多のチームmtg主体でどこまでチームのパフォーマンスを高く保てるかをしばらく追求してみようと思っている。 1on1では伝える相手が明確なのでメッセージを研ぎ澄まし、真摯に伝えることが出来ている(と自負している)が、一対多になると…

自ら何かを望んでその実現の為に準備を尽くすと、どれだけ心血を注ぎどこまで手を拡げたとしても自分の力の及ばない外部要因が厳然と存在するという現実にいつかどこかで直面する。 そうした現実に抗い、どこかで受け入れ、尚切望し続けることではじめて、結…

「センス」で片付けない

いつだったか、入社数ヶ月のジュニアが阿呆なシニアから「君には定量分析の素養(センス)がないから定量分析は諦めて他で戦うことを考えるべき」と言われたと嘆いていた。 最初に立場を明示しておくと、この手の発言はすべて無視して良いと思っている。(収…

「上司」を無視する

若干テクニカルな話。 仕事を進めていくうえで、「上司」を適切に無視することは大事なスキルだと思っている。 プロフェッショナルファームには上司-部下という関係性は本来存在しないので、ここでは「」にしているが、現実には営利企業として機能するために…

話し方

ビジネスシーンにおける話し方の指導についての所感。 話し方、というと話す速さや声のトーン、滑舌などを連想し易い(し、それらも確かに大事ではある)が、そのような分かり易い形質についてのノウハウは巷に溢れており、ほとんどの人が大まかには理解して…

伝える経験を積む

散々反対したものの、組織が匿名の360度フィードバックの導入に至りまして。 頂いたフィードバックを見ると、自分自身を顧みるきっかけとなる意見が多くあり、非常にためになりました。また、その大半が僕に正しく伝わるよう言葉をよくよく吟味してくれてい…

「本棚」で殴る

それなりに順調にいけば、2-3年目あたりで週次定例レベルの「仮説」を立てることが求められるようになる。「仮説」とは、慣習的に「論点に対するその時点での仮の答え」を意味しており、仮説を立てるという営みにはその意味するところからも明らかなように即…

まだ未習得なだけ

"Growth Mindset"というらしい。 ある種の卓越を目にしたとして、それを先天的なものだと捉えると妬みや嫉みが募るが、技術の蓄積だと思って見れば彼ら/彼女らがこれまで積み重ねてきたものの途方もなさに気付くことができ、敬意を抱くことができる。 「経営…

bullshit job

少し前に、ブルシットジョブ(クソどうでもいい仕事)という本が流行った。当時は自分の目の前の仕事を「ブルシットジョブ」だと形容する人を度々見かけた。何かを糾弾しているつもりかもしれないが、その実、「自分は仕事の意義に納得していなくても命じら…

leadershipについて

「より良い状態」を構想しそれを実現しようと知性を用いている人に出会うと心が洗われる。僕はその姿勢こそがleadershipと呼ばれるものだと思っている。その「より良い状態」がどんなに些細なものであっても。 そうしたleadershipの裏には、それまでに培って…

「間違っていない」と「正しい」

"間違っていない"と"正しい"の間には途方もない差がある。経験上、前者をいくら積み重ねても後者には辿り着かないので、構造的な問題があるのでは、と思っている。それが正しいとすると、導出するための手続きも、全く異なることになる。 最初から「正しい」…

敬意を持つ

問題解決を生業とする人間に求められる資質のひとつに、悪意や怠惰を前提しないことがあると思っている。これは、相手がこれまで歩んできた道程に敬意を持つこととも言い換えることができる。この「敬意」が欠如してると、他者がその人生のなかで価値ある洞…

働き方改革のあるべき形

プロフェッショナルファームにも働き方改革の波が来ている。従来幅を利かせていた過重労働や誤った精神論が否定されること自体は素晴らしい。しかしながら、方法論の進化や個々人の能力/職業倫理の向上とセットで語られないことには大きな違和感と強い憤りを…

大切なもの

僕の中には明確な優先順位がある。身近な人を大切に出来もしない人間が語る社会や問題解決なんて、内実のない空虚なものだとすら思っている。 けれども、その優先順位は適切に実践されてこなかった。 常に自分にできる全力を尽くしているという事実の積み重…