puttinpuddinのブログ

コンサルタント見習いの仕掛かり作業

嫌いな言葉①:「イシュー」

とある名著では、「解くことで効果が大きく、解くことができる問い」を「イシュー」と呼んで、こいつについて仮説検証をサクサク回そうぜと論じている。ここでいう「イシュー」とは、詰まるところ、「見解の統一されていない点のうち、効果と実現可能性の観点から論ずるに値するもの」くらいの意味になる。

この考え方が多くのビジネスパーソンに普及したこと自体は素晴らしいが、 「課題(Issue)」と「論点(Issue at hand)」とが癒着することでいくつか弊害もあった(気がする。不器用な僕は以下の3つで習熟が遅れた)。

  1. サクサク回そうと説いている「仮説検証」を、前掲の「課題」だけでなく「問題」「打ち手」に適用して良いものかよく分からない。(まあ普通に考えれば適用しても全く問題ないのだが、「それなら「課題(Issue)」と混同しやすい語を使わんといてくれ。紛らわしい。」という気がする。)
  2. 「それはイシューではない」との指摘がなされた際、見解が統一されていないのか、効果と実現可能性に関する評価が異なるのかがよく分からない。
  3. イシューという言葉を「見解の統一されていない点」という意味で使う人が一人でもいると、ミスコミュニケーションの発生確率がめちゃくちゃ上がる。

結果として、読むとなんか「はいはい、そーゆーことね」と分かったつもりになるものの、厳密な運用に耐えない&現場のコミュニケーションがハイコンテクスト化するため、実践でつまずく人が増える、という問題が生じているように思う。(言いがかりだったらごめんなさい。)

コミュニケーションがハイコンテクスト化すると、偉い人による「俺が考えてること当てクイズ」が発生して知的に誠実で開かれた議論を行う文化が形成され難くなるため、こうした「何かいい感じに本質的な議論ができてるっぽい雰囲気を醸す一方で、その実、弊害の方が大きい」類いの表現は根絶していきたい。