puttinpuddinのブログ

コンサルタント見習いの仕掛かり作業

私的な問題意識(とやりたいこと)

設計行為とは本来的にIterativeなものである。2000年余りの歴史を持つ建築設計の世界では、設計は、基本計画・概念設計・詳細設計・生産設計といった多段階から構成されており、各段階を経る毎に解像度を高め、後続の生産へと繋げる。新興のSWE業もこれに倣って方法論を改め、WaterfallからAgileへと発展を遂げてきた。
 
一方の我々、経営コンサルティング業界は、建築設計に比べて遥かに歴史が短く、SWEに比べて遥かに規模が劣ることから未成熟であり、近年まで「戦略-実行」という、設計の規範から大きく逸脱した工程区分に拘泥してきた。その結果、「戦略」と「実行」との間には未だに隔絶があり、本来そこにあるべき工程自体が未分化である。建築設計になぞらえて捉えるならば、「詳細設計」「生産設計」に、適切な価格をつけることができていない。適切な価格を主張するに足る人材と方法論を供給できてもいない。
少なくとも「戦略」のプラクティスは、「基本計画」か、精々「概念設計」までしか手掛けられておらず、「詳細設計」「生産設計」といった後続工程を軽視し、存在とその価値を正しく認識できていない。
 
「詳細設計」「生産設計」の工程は、本来、上流で描いた構想を損なわずに業務、組織、そして経営の動態に落とし込む、過酷な工程である。そこでは、①Iterationによる構想の修正と本源的価値の追求、②経営者との対峙、③専門知の動員と統合、が求められる。
 
① Iterationによる構想の修正と本源的価値の追求:
工程を進むほど、構想は現実の制約に直面し、当初の精彩を失う。現実を形成する諸力と機序とを解き明かし、当初構想に込められた本源的な価値を明らかにして、構想自体を洗練していく。構想と現実との間の相克を司る知的負荷は極めて高い。
 
② 経営者との対峙:
追求に値する提言をする。重大な責任を負う・果たす。個として信頼を得る。相手以上に相手のことを考えて耳の痛い話をする。対話を通じて本源的価値を共に究明する。則ち、経営者のパートナーとして当たり前のことを、高い水準で実践することに尽きる。技術的・人格的な陶冶が求められる。
 
③ 専門知の動員と統合:
技術の裾野が広く、その進歩の速度も加速の一途を辿る現代、改革を構成するすべての処理をひとりで担うことは出来ない。一方で、顛末に対する責任はひとりでしか負えない。専門知の体系を理解し、問題を分解して適合する専門知を特定・動員し、総体としての成果創出に向けて統合し切る。
 
これらを担える人材を輩出できるプラクティスを作り、高い品質のサービスを提供することで、詳細設計・生産設計の市場の価格を適正化したい。経営コンサルティング業界を、それが本来あるべき姿に近づけるために、必要なことをやっていく。