puttinpuddinのブログ

コンサルタント見習いの仕掛かり作業

収益モデルを用いるプロジェクト

経営コンサルティングのサービスでは、収益モデルを組んでそれをベースに議論を深めていくことが多い。このような議論では、定量化と分析の結果それ自体が重要になることもあるが、他方で、無理矢理モデル化・定量化する過程で事業の本質に対する理解の深化に意味が宿る場合も多い。

この事業の本質的な提供価値・競争力は何なのか、どこまでの単純化なら許容できてどこからはできないのか、何が一過性の流動で何が不可避の分散なのか、一過性の流動はどのような形に収斂すると想定するのが妥当なのか、を否が応でも明文化することになる。

広い意味でのチームでの実践に関して、留意すべきことがいくつかある。

 

クライアントとのプロセスの合意

クライアントのニーズにも、最小限の負荷で定量的な判断を行いたい場合と、市場や事業について理解したい場合とがあるだろうし、いずれかを特定してプロセス自体の設計をしないと大変なことになる。

クライアントが自身のニーズの配合比率(判断と理解を何対何の比率で欲しているのか)についての客観的な感覚なんて持っていたら気持ち悪いし、増してや、その比率に適したプロセスの設計なんて特殊な職能になるので、判断を委ねるのは往々にして悪手になる。従い、最善の案を作った上で、それまでに築いた信頼を担保に任せてもらうしかない。

 

チーム内での役割分担

理解に主眼を置く場合、定量化の技法への習熟が進んでいようとも恐らくジュニアなメンバーでは担いきれないので、本来的にはマネージャー以上のシニアがモデルを組む必要があり、何らかの事由でそれが難しい場合には、チーム内コミュニケーションのあり方を工夫する必要がある。

チームの誰ならどの程度の判断までできるかの見極めは、チームメンバーそれぞれの成長と、判断の難しさについての記憶の劣化という2つの変数によって容易に誤るのが難点になる。前者についてはある程度保守的に見込んでおいた上で、後者については少なくとも年に一度くらいは自分でゼロから組んでみて感覚を保つのが妥当か。