puttinpuddinのブログ

コンサルタント見習いの仕掛かり作業

話し方

ビジネスシーンにおける話し方の指導についての所感。

 

話し方、というと話す速さや声のトーン、滑舌などを連想し易い(し、それらも確かに大事ではある)が、そのような分かり易い形質についてのノウハウは巷に溢れており、ほとんどの人が大まかには理解している。理解しているにも関わらず実践に落ちないとなると、事実に向き合えないとか反復練習が出来ないとか、往々にして技術の問題というよりは人生の問題に行き着く。つまるところ、この辺りの指導は、一見容易である一方で、あまり効果的でも効率的でもないのではないかと思う。

 

僕は、実践者にとっての問いは、耳の痛い意見を述べる、初歩的なことを質問する、誠意と愛情を伝える、等をどこまで/どのように表現すれば良いか、だと思っている。

 

熟練者はそれらの表現にいくつもの工夫とその前提としての哲学を持っているが、僕を含め、コミュニケーションの技術の成熟度が低い人は、熟練者のそれを観察したところで、工夫を工夫として読み取ることができない。工夫が幾重にも積み重なっているために一つ一つを切り出して吟味できない、哲学の体系的な理解を欠いているため意図が分からない、あたりが原因ではないかと思っている。

 

それならば、観察に任せず教え授けようという話になるのだが、この「哲学」というやつは、各論レベルに落ちると個々人の先天的な形質や経験などの影響を強く受けてしまうので、他の人にそのまま伝達し適用するのは難しい。適用できるサイズで断片的に提示したらしたで、「心に残る名言」にはなれても、自律的な学習を促すことには繋がらない。結局のところ、哲学というものは教義のように体系化し、個々の置かれている文脈を踏まえてintegrationできるように整える必要がある。

 

ビジネスシーンにおけるコミュニケーションは基本的に信頼の構築を目的としているため、僕は体系化にあたってTrust Equationを用いている。この恒等式は、Trust = (Credibility + Reliability + Intimacy) / Self-orientation
という形で分解しており、もう1~2段階分解すれば、具体的な所作や表現が、どのような意図で選択されたのか整理できるようになる。このような体系化に沿って具体的な工夫と目的の間の紐付けができるようになると、そこから先、熟練者のコミュニケーションの観察から工夫を読み取るのはいくらか容易になってくる。

 

 

「話し方」が気になったとき、目につきやすい形質を指摘しがちだが、コミュニケーションの目的に照らした所作の体系化を促す方が有益ではないかと思っている。